症例紹介Cases
中等度~重度歯周病に対して、包括的治療法で治療を進めたケース
口元の突出感(出っ歯になってきた)、ものがよく噛めない、家族から口臭がするということを訴えられて来院されました。 診断の結果、中等度から重度の歯周病でした。 この患者様の場合は、満足できるような状態に機能回復させるのは特に難しい状態でしたので、 歯科用CTを併用した歯周精密検査を行い、様々なリスク分析・緻密な治療計画を行い、 包括的(口の中全体)治療を行っていきます。
初診時(来院時)レントゲン写真
全体的に、歯を支える骨が溶けて無くなっているのがわかります。
口腔内写真
残念ながら、保存不可能な歯牙は抜歯させて頂き、 欠損部(歯がない部分)は必要最低限のインプラントにて機能回復させる事を希望されました。
正面から見た口中の写真
治療前(写真上)は、虫歯や歯周病がひどく、見た目の歯の出具合も気にされており、口臭もかなりきつい状態でした。歯周病の治療をしても改善の可能性が無い歯は、相談し抜歯させていただきました。また、歯を抜いた部分については最低限の本数のインプラントを利用して機能回復する事を希望されたため、出来るだけご希望の添えるよう治療しました。治療後(写真下)では歯ぐきの状態も健康に、出っ歯感も無くなり、口臭もなくなり人前で気にすることもなくなったそうです。
治療前
治療後
歯周病治療を行うにあたり、どう治していくかを考えるための治療計画写真
当初、歯周病治療後に入れ歯を装着する予定でした。治療が進むにつれて、入れ歯のつけ外しが面倒、入れ歯を支える金具が正面から見て見える位置にきてしまうのが気になる、残っている歯への負担を避けたいとの理由で、上下の奥歯についてはインプラントを利用して咬合機能回復(噛めるよう)する治療を希望されたため、治療計画の変更を行いました。
上顎から見た治療計画の研究模型写真
下顎から見た治療計画の研究模型写真
左下の奥歯に再生療法(エムドゲイン療法)
左下奥歯の一部に、歯周基本治療を行った後、エムドゲイン(再生療法薬)の適応であったため、相談の結果、エムドゲインを利用した歯周組織再生療法を行いました。
骨造成処置(サイナスリフト)
失われた骨を造成し、インプラント治療が行えるように、上の奥歯を抜いた部分の環境を整えます。インプラント治療は、インプラントを埋入できる骨が無いとできません。歯周病になって歯を抜くに至る患者様については、特にこのように骨が無い状態の方が多い傾向になります。
Ridge Augmentation(歯ぐきの幅を増やす手術)
上の前歯の一部は、治療において抜歯を余儀なくされたため、その後の審美性を考慮した結果、歯肉(歯ぐき)を膨らませる(増やす)手術を行う事で、審美性、清掃性を改善しています。
仮歯にて最終確認している写真
プロビジョナルレストレーション(仮歯)にて、噛み合わせ(機能性)や見た目(審美性)を微調整していき、 治療のゴールへと近づいていきます。
上顎から見た口中の写真
歯周病の治療を行い、保存できない奥歯は抜歯をさせていただいています。歯が無い部分は、上の写真のようにインプラントを2本使用して口腔機能回復を行っています。
治療前
治療後
下顎から見た口中の写真
歯周病の治療を行い、保存できない歯は患者様と相談の上、抜歯をさせていただいています。特に右下の奥歯1本についてはインプラント治療を行なって咬合機能回復をしています。
治療前
治療後
治療後(メインテナンス開始時)のレントゲン写真
初診時と比較して歯槽骨の平坦化、特にサイナスリフト後、抜髄後、左下第一大臼歯の再生療法に問題が無く、良好に経過しているのが確認できました。
歯周病治療後に、歯が無くなった場所には部分入れ歯、ブリッジを利用すること、別の方法でインプラントを利用した方法もあります。特に、歯周病で歯を支える骨が少ない場合には、なるべく他の歯への負担の少ない方法を考慮していきます。今回は、そういった事情も踏まえ、相談の結果、咬合機能回復のため3本だけインプラント治療を行いました。
また必要最低限な抜歯処置は受け入れて頂きました。幸いな事に、骨造成、歯周組織再生療法などの外科処置もトラブルなく施術、経過しており、当初の患者様の希望にそうよう治療を終える事ができ、よく噛めるようになったと大変満足して頂く事ができました。
注)治療には保険適応外のものを利用しています。歯科治療は、保険治療におけるルールによりその治療の一部もしくは全部が保険適応外となる場合があります。詳細は担当医にご相談ください。
- 治療期間
- 2~3年
- 費用
- サイナスリフト(上顎の骨造成手術):33万円(税込)/箇所 ➡ 66万円(税込)(2箇所治療)
インプラント治療:50.6万円(税込)/本 ➡ 151.8万円(税込)(3本治療) - リスク
- サイナスリフトを行う事により、手術中、術後に上顎洞粘膜穿孔、感染すると、副鼻腔炎を起こす可能性があります。そのリスクを避けるために、CT撮影などの画像診断、治療用の専用器具利用などで対応しています。
治療費、期間、リスクはあくまで参考(目安)であり、患者個々の状態により異なる場合があります。結果を保証するものではございませんので、必ず主治医と相談してください。