症例紹介Cases
前歯のトラブルに対してジルコニア・セラミックと歯周形成外科を行い、審美性を回復したケース その2
「前歯の長さや形が気になって大きく口をあけれない」という理由で来院されました。患者様と御相談した結果、矯正治療は行わず、歯肉(歯ぐき)の調整と補綴(被せもの)で審美的に治療していくこととなりました。
初診時(正面像)
歯ぐきがやせて、被せのふちと歯ぐきが黒くなってしまい、歯の色もよくない状態です。
診査の結果、緑のラインのように歯ぐきのラインの不揃いや、歯の大きさのバランスが悪いことがわかりました。患者様と相談した結果、ブリッジ(差し歯)と歯ぐきを膨らませたり、歯ぐきを再生させる歯周形成外科(歯ぐきの手術)で改善する方向となりました。
歯肉(歯ぐき)が何らかの原因で減少した場合に、様々な問題が起きます。その一つの例として、審美障害があります。正面から見た際、なるべく左右対称にしたい場合に、歯の長さ、幅だけの改善では難しい場合があります。
そういった場合に、ご自身の口蓋から歯肉を部分的に採取し、目的とする部位へ移植する事があります。採取された部位については、適切に管理されていれば、1ヶ月程度で治癒します。移植手術による利点は、見た目や機能的(食べかすが溜まりにくく清掃のしやすい)口腔内環境にする事ができる事です。欠点としては、外科手術になること、審美目的の場合は、保険適応では無いため費用がかかる事、治療期間が外科処置の分だけ余分にかかる事などが挙げられます。
治療後
治療前(初診時)と比べて、歯の大きさのバランスが整い、歯ぐきの黒ずみも消えてきれいになりました。また、ジルコニア・セラミックを被せているので、審美性が高いことはもちろん汚れがつきにくく、歯ぐきなどの歯周組織に対してもやさしい治療と言えます。
完全に左右対称にするためには、左上犬歯を部分矯正して、右側犬歯の位置に合うようにしなければなりませんが、緑色ラインのように歯ぐきのラインもほぼ揃い、患者様の満足される審美へと改善されました。通常の被せなおすだけの治療では、歯が長くなってしまったり、歯ぐきの黒ずみは消えません。このケースでは、歯周形成外科という審美性を得るための特殊な歯ぐきの手術を行っています。
注)このケースは、審美目的の治療ですので保険適応外となります。
- 治療期間
- 約1.5年
- 費用
- 歯ぐきの移植手術:22万円(税込)
ジルコニアセラミッククラウン:23.1万円(税込)/本 ➡ 137.5万円(税込)(5本治療) - リスク
- ジルコニアセラミックは、強度の観点から、噛み合わせによっては割れたりするリスクがあります。歯ぐきの移植手術は、移植片(採取した組織)が壊死するリスクもあります。
人工歯(セラミックなど)の製作にあたり、支台歯(治療する自分の歯)を削ります。製作する人工歯について、歯の形(形態)、色は、可能な限り希望に沿うよう努力しますが、治療する支台歯(自分の歯)の隣の歯や、対合歯(噛み合う相手の歯)の位置などの状態により様々な制約を受けます。歯科医師、歯科技工士の診断により、治療後の人工歯の破折、脱離(はずれる)、支台歯(治療する自分の歯)自体の破折、脱離が予測される場合は、それを防ぐために歯を削れる量が制限されるため、ご希望とされる色や形(形態)にできない場合もありますので、予めご了承ください。
治療費、期間、リスクはあくまで参考(目安)であり、患者個々の状態により異なる場合があります。結果を保証するものではございませんので、必ず主治医と相談してください。